スポーツ整形外科関節鏡センター長
上中一泰
スポーツへの注目が大きくなるにつれ、子供たちのスポーツ開始年齢の低年齢化による外傷や障害、成人におけるスポーツでの特徴的な障害がクローズアップされてきています。そのような中で、整形外科の知識とスポーツそのものに対する理解、スポーツ障害や外傷に対する専門的な知識を統合した分野がスポーツ整形外科です。
例えば、子どもたちの野球肘、リトルリーガーズショルダーなどは、投球フォームや投球回数を調整することで予防できます。成人に対しても、テニス肘やバレーボール、サッカーによる足関節靭帯損傷、膝前十字靭帯損傷などそれぞれのスポーツに特徴的な障害に対し、これらの原因を検討することで予防、治療することができます。
高齢者のスポーツ活動も最近では非常に活発になってきており、高血圧、糖尿病、高脂血症はもとより血管の健康を保つことにより心筋梗塞や脳梗塞の予防といった健康寿命延伸効果が注目されています。また、スポーツ活動を行うことは社会活動、地域活動への参加、交流関係の広がり等につながりメンタルヘルスへのプラス効果が指摘されています。
関節鏡は日本で開発され、その後世界中に広まった経緯があり、現在の整形外科の分野でも最も進歩の著しい分野のひとつです。関節鏡を用いた手術は膝関節には十字靭帯再建術、骨きり術や半月板に対する手術、肩関節には腱板縫合術や脱臼制動術など様々な治療が試みられ良い成績が得られてきています。他にも肘、足、股関節等あらゆる関節に応用されてきています。このようなスポーツによる外傷、障害に対する相談・治療、関節鏡による手術の相談などいつでもお待ちしております。
スポーツリハビリテーションは、通常のリハビリとは違い、障害部位のみだけではなく、競技復帰時によりよい状態で復帰できるように、治療・予防的なアプローチを実施しております。具体的な内容としては、機能回復を目指した運動療法、物理療法(特に超音波療法)、また、競技復帰を目指したパフォーマンス指導をして実施しております。特に障害予防には力をいれており、フォームチェックを行い、良いフォームを確認し、異常なフォームを修正することを行っております。
尚、治療の進め方に関しては定期的なミーティングを通じて医師・看護師・理学療法士・作業療法士と意見交換をしながら行っています。
当院スタッフは高校野球をサポートする滋賀県アスリートケア研究会に所属しており、障害部位のみだけではなく、競技復帰時によりよい状態で復帰できるように、リハビリとリコンディショニングという観点から治療・アプローチを行っていきます。
スポーツリハビリテーションの目的は、より早い、より高い復帰です。ケガで部活動やスポーツ活動ができない期間に、パフォーマンスの低下が起こらないようにすることと、ケガを負った以前の状態、もしくはそれ以上のパフォーマンスを得ることができるようにサポートしていきます。
リハビリテーション課 山添徹、山本裕介
メディカルサポートとして院内における診療や治療の他に、スポーツ現場などの院外活動にも重点を置いて活動しています。主に滋賀県内で開催されるスポーツ競技に救護スタッフとして活動したり、滋賀県スポーツ協会のメディカルスタッフとしてコンディショニングチェックを行ったりしています。活動を通じて地域の皆様方のお役に立てればと考えております。
梅田 康平、上中 一泰
過去の関節鏡手術及びスポーツ外傷手術の治療の実績です。
主な手術:前十字靭帯再建術、半月板縫合術、腱板修復術、膝周囲骨切り術等。
2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | |
---|---|---|---|---|
関節鏡下手術 | 18件 | 14件 | 37件 | 57件 |
スポーツ傷害 | - | - | 38件 | 48件 (2021年2月まで) |
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会・日本整形外科スポーツ医学会学術集会
令和3年4月から、当院において自家培養軟骨による膝関節軟骨の治療が保険で受けられるようになりました。
関節軟骨は、ヒザの動きを滑らかにしたり、ヒザにかかる負担をやわらげるクッションの役割を果たしています。軟骨組織には血管がなく、傷を治すための有効な細胞が少ないため、事故やスポーツで軟骨が欠けたり、剥がれてしまうと、自然に治癒するのは難しいと考えられています。
自家培養軟骨
欠けた軟骨の治療法の中で、近年注目されているのが「自家培養軟骨移植術」です。自家培養軟骨移植術にもいくつか種類がありますが、日本で公的医療保険の対象となっているのは、「外傷性軟骨欠損症」または「離断性骨軟骨炎」で、欠けた軟骨の面積が4cm2以上の患者さんです(変形性膝関節症は治療できません)。この治療法は平成24年7月に厚生労働省により承認され、平成25年4月より公的医療保険で受けられるようになりました。
「自家培養軟骨移植術」は、患者さんご自身の細胞を使うので、拒絶反応がきわめて少ないこと、少しの軟骨から細胞を増やすことができるので、広い範囲の軟骨が欠けた場合により有効であるなどのメリットがあり、治療後はヒザの痛みが和らぐことが確認されています。
移植が終わった約1~2週後からリハビリテーションがはじまります。ゆっくりとヒザを動かしていき、4週後から少しずつヒザに体重をかけていきます。
6週後には全体重をかけるトレーニングをします。ただし、軟骨の欠けた場所や大きさなどにより、リハビリテーションのスケジュールは変わります。
参考リンクはこちら
上中 一泰
役職
整形外科部長
スポーツ整形外科関節鏡センター長
卒業年
2000年
専門分野
膝関節外科、スポーツ整形外科
資格(認定医、専門医、指導医など)
認定医:
日本スポーツ協会 認定スポーツドクター
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本人工関節学会 人工関節認定医
専門医:
整形外科専門医
(その他)
2019年度 AO trauma fellowship、滋賀医科大学医学博士
中部整形外科・災害外科学会評議員
骨折治療学会評議員
滋賀県アイスホッケー連盟医事委員会委員長
JATECコース修了
滋賀医科大学客員講師
藤田 美奈子
役職
リハビリテーション科部長
卒業年
1997年
専門分野
リハビリテーション 全般
資格(認定医、専門医、指導医など)
日本リハビリテーション医学会専門医
(その他)
医学博士
指導医養成講習会受講済
障がい者スポーツ医
義肢装具等適合判定医
担当医 | 診療日 | 受付時間 |
---|---|---|
上中 | 毎週水・金曜日 | 8:30~11:30 |
DEPARTMENT
診療科・部門のご案内
診療科
専門外来
セクション
よくご覧いただくページ