かねてより甲賀地域では胆石疾患が多く、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)・超音波内視鏡(EUS)などによる胆膵疾患の診断、胆管結石除去術や胆管・消化管ステント留置術などの標準的な内視鏡手術を行っております。胆膵関連処置(ERCP関連、EUS関連、経皮関連)の治療件数は毎年約300例以上あり、滋賀県内でも有数の症例数を誇っております。
胆管:肝臓で作られた胆汁の通り道です。胆管は十二指腸に開口し、胆汁はそこで食べ物と混ざり合い、脂肪の分解・吸収を行います。
胆嚢:胆管にぶらさがっている袋状の臓器です。胆汁の貯蔵庫として働いています。
膵臓:胃の裏側にあり、様々がホルモンや消化酵素を出しています。
胆石:胆石(たんせき)とは、胆嚢(たんのう)や胆管(たんかん)にできる結石(石)です。結石のできる場所によって、胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石に分類され、それぞれ症状、治療法が異なります。
胆嚢結石:一般的に胆石といえば胆嚢結石のことを指します。人間ドックや健診などで腹部エコー検査を施行すると5-10%程度の方に認められます。胆嚢結石を持っている方のうち、実際に結石が何らかの病気を引き起こすのは2割程度と言われており、何も起こらない場合が多いため、胆嚢結石があるだけでは腹部エコーでの経過観察で十分な事が多いです。
以下に結石によっておこる一部の疾患について解説します。
結石が出口に嵌っている状態が続くと、胆嚢内に細菌感染を起こすことがあります。急性胆嚢炎と呼ばれる状態で、右上腹部痛、高熱を認めます。急性胆嚢炎は、放置すれば敗血症から死に至ることもあり、すみやかに治療を開始する必要があります。
急性胆嚢炎は病状の程度を評価したうえで治療方針を決定します。絶食、点滴、抗生剤等にて治療可能なものから、胆嚢摘出術による緊急手術まで必要な場合もあります。当科では内科的治療(胆嚢ドレナージ術=胆嚢内の膿を出す処置)を行い、その後可能であれば胆嚢摘出術を考慮します。当科で行っている胆嚢ドレナージ術としては、皮膚から針を刺す事による経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTGBD)や近年では高度な技術を要する内視鏡的胆嚢ドレナージ(EGD)も実施しており、患者さんの病態に合わせて最善のドレナージ方法を選択しております。
総胆管結石:胆嚢からの落石や総胆管内に結石ができた場合総胆管結石という病名に代わります。これにより胆汁に感染を起こすと急性胆管炎を発症します。
結石により胆管が閉塞し、胆汁が十二指腸に流出できなくなると、腹痛や黄疸が出てきます。さらに胆汁に細菌感染が起きると急性胆管炎を発症し、高熱が出ます。急性胆管炎は、未治療で放置した場合、数時間で敗血症性ショックから死にいたることもある緊急疾患です。早期に胆管ドレナージ(胆管閉塞の解除)を行い、胆管閉塞を解除する必要があります。胆管ドレナージの方法としては、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)が第一選択となりますが、症例によっては経皮経肝胆管ドレナージ術(PTBD)を選択することもあります。
結石により膵管が閉塞し、急性膵炎を起こすことがあります。保存的治療が可能なものから、緊急で内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による胆管ドレナージを必要とすることがあります。
胆管炎や膵炎がある程度落ち着いてから、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による内視鏡的胆管結石除去術を行います。胆嚢結石と違い、総胆管結石の場合には無症候性であっても、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による結石除去の適応となります。
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