心臓は全身の臓器へと血液を送り出すポンプの役割をしています。さまざまな原因で心臓がポンプ機能を十分果たせなくなった結果、体に症状が現れた状態を心不全といいます。心臓の機能がゆっくり低下している場合、心臓が大きくなったり、拍動を速くしたりすることで、低下したポンプ力を補う機構(代償機構)が働くため、すぐには症状に現れません。しかし、代償機構も長期間続くと心臓にかえって悪影響を及ぼすようになり、ついには症状が現れてしまうのです。
このように、心臓の機能低下が徐々に進行し、症状が長期間続く状態を慢性心不全といいます。一方で、心筋梗塞などが原因で、突然に症状が現れるものは急性心不全といわれています。
慢性心不全は高血圧や心筋梗塞などが原因となるため高齢者で発症しやすく、患者数は増加しています。心筋の病気や弁膜(心臓の血流を仕切る弁)の異常も原因となります。
日本の高齢化は著しく、5人に1人が75歳以上になるという2025年問題が目の前に迫っています。
甲賀地区も例外ではなく、高齢者の心不全が爆発的に増加することが予想されます。それを見越して昨年心不全学会から高齢者心不全の治療に関するステイトメントが発表されました。高齢者の心不全の特徴としては、
1) コモン・ディジーズであり、その絶対数が更に増加してゆく
2) 根治が望めない進行性かつ致死性の悪性疾患である
3) その大半が心疾患以外の併存症を有することである
の3点に要約されたました。
つまり、高齢者心不全はありふれた疾患であると同時に癌のように死に至る悪性病態であると宣言しています。
入院を繰り返すことも多く、急性増悪に至らないように、症状の安定しているときからの心不全の管理が重要になります。内服加療のような医療的側面と同様に、患者さんの生活の場、生活スタイルに軸を置いた介入が必要です。
当院では医師だけではなく、心不全認定看護師を含む看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士等のコメディカルが心不全チームとなり一丸となって対応しております。心不全チームが発足して3年近くになりますが、今では週1回の心不全カンファレンスを中心にチームで心不全入院患者さんに介入しています。また滋賀の心不全チームの研究会にも積極的に参加し、発表や他病院とも交流を深めています。
テーマ:「心臓の病気」
2020年12月7日(月)~13日(日)放送
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